「お願いして本当に良かった。ゴミのような紙が宝物に変わりました。古文書に新しい生命が吹き込まれた気がします。」
千葉県佐倉市 皓月山静覚院 寳金剛寺の、京極住職様より所蔵古文書修復のご依頼がございました。
寳金剛寺様は建仁三年(1203年)開基と伝えられる古刹で、岩富城城主 北条氏勝公の菩提寺でもあります。
秘仏の「虚空蔵菩薩」は霊験あらたかで、源頼朝が祈りをささげた由緒が創建につながったともされ、すべての福徳と智慧を授けてくれる存在であり特に子供たちを見守り慈しむ「子育て虚空蔵様」として、厚い信仰を受けています。(寺院パンフレットより)
今回、貴重な蔵書が倉庫の雨漏りで水損して開くことができなくなってしまい、何とか残したいとの思いで弊社にお問い合わせ頂きました。
修復前
雨漏りによって水に濡れたままになっていたため、ページが完全に固着してしまい開くことができない状態でした。このような水損資料は紙質が弱く、無理に開こうとするとページが開かずに破れたり、紙がフケたりする(綿状になって崩れてしまう)危険な状態になっています。
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修復方法
- 固着した資料に、加湿器を利用して少しづつ水分を与えていき、一枚づつ慎重に剥離しました(固着展開)。
固着資料の展開は紙質が劣化してフケている(綿上になっている)ことが多く中がどのような状態になっているかが分からないため、通常にも増して慎重に行う必要があり、非常に注意のいる作業になります。 - 展開してそれぞれのページを解体した後、漉き填め修復を行い、元の形に製本しました。(漉きはめ修復はこのような技法です)
修復後
固着して開かなかった古文書をもう一度開いて読むことができるようになりました。
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御感想
修復が完了した古文書をお送りしましたところ、京極住職様から『仕事の内容、前後の対応、非常に満足しています。お願いして本当に良かった。ゴミのような紙が宝物に変わりました。古文書に新しい生命が吹き込まれた気がします。今後とも宜しくお願い致します。』と大変ありがたい御言葉を頂きました。
また、弊社へのご要望として『修復にあたって報告書等があると檀家の方に説明しやすいので、つけて欲しい。』 『納品の際、中性紙でできた名刺を添えて頂ければ修復後の古文書に挟んでおき、遠い将来修復した事業が文書と共に残せるのでは?』とご意見も頂きました。是非検討致します。