「今回修復したことで、想いの込められた経典で法要を行うことができました。」
埼玉県 遊馬山 高城寺 遊城住職様より大般若波羅蜜多経600巻の修復をさせて頂きました。
遊馬山高城寺様は戦国時代の天文十二年(1543年)に創建された古刹です。こちらで代々受け継がれ法要に使用されてきた、大般若波羅蜜多経の傷みが激しくなり法要に使用できなくなった事と、このままでは次の代に受け継いでいくことが出来なくなってしまうとの思いから弊社に修復のお問い合わせを頂きました。
修復前状況
本紙各所に虫損及びシミが見られ、つなぎが外れている巻が多くあり一度に開いて見ることが出来ない状況でした。簡易補修された跡がありましたが、その際に巻数や順序の並びが間違って繋がれているものが多数見受けられました。その為経典の折りがずれて段差ができていました。
このような状況の為、作業に掛かる前に繋ぎの状況を確認し順序違いがあるものは記録を取りました。また解体の際表紙裏に文字等が発見されましたので、記録を取り、報告書に記載して高城寺様にご報告致しました。
作業工程
修復前(巻67)
折りのずれと本紙に虫損が見られます。
修復後
全体に洗い・虫損の補修を施してつなぎ直した状態です。
虫損穴が補修され、つなぎのずれによる段差が改修されています。
全巻修復作業の完了後、もう一度全ての巻を開いて最終検品を行い、納品いたしました。
納品
修復された経典をご住職にご覧頂きました。
とてもきれいになり、また元のように開くことできるようになったと大変お喜び頂きました。
代々お寺に伝わってきた経典であり、当時の檀家様のご寄附によって手に入れた、想いの込められたものであるので、後々の代に伝えて行きたいと仰られていました。
また、前回の法要では残念ながら傷みが激しくこの経典が使用できず、やむなく別のお寺から借りて法要を行うことになっていましたが今回修復したことで、この想いの込められた経典で法要を行うことができる事にもお喜び頂きました。
高城寺様では2014年10月26日に落慶法要が営まれ、その際こちらの経典を使用しての大般若波羅蜜多経の転読が執り行われました。 |