所蔵ポスター／
大阪産業労働資料館 エルライブラリー様

「とてもきれいになり、改めてこのポスターが作られた背景について話が盛り上がりました。」

大阪産業労働資料館　エルライブラリー様より所蔵ポスター資料の修復のご依頼がありました。
エルライブラリー様は、財団法人大阪社会運動協会（社運協）が、大阪府の「橋下改革」によって最初に廃止された施設である大阪府労働情報総合プラザ・大阪社会運動資料センターをリニューアルし設立されました。
大阪府労働情報総合プラザの旧蔵書17000冊を統合して2008年にオープンした労働専門図書館です。
施設の廃止に伴って補助金の全額廃止という大変困難な状況の中でサポート会員の会費、寄付等、多くの方々の支援によって運営されています。

修復前

全体にやぶれがひどく、ガムテープやセロテープなどで破れを補修しているため粘着成分が変色してシミになっています。また、部分的に欠けている箇所があります。

修復工程

修復前処理 最初にポスター表裏面の汚れをドライクリーニングで落とした後、滲まないように滲み止め処理を行います。
セロテープ・ガムテープの除去 貼られていたセロテープやガムテープを除去していきます。 布テープの場合は表面のテープを剥がしても粘着税が厚く残ってしまいます。残った粘着剤は薬品（アセトン）を使い、バキュームで吸引しながら筆で丁寧に除去していきます。
折れ伏せ・破れの補修 折れのきつい部分は修復しても折れが戻ったり、紙質が弱っている場合は裂けたりする恐れがあるため、折れ伏せ（細く切った和紙で補強）を入れます。 また部分的に欠けている箇所にポスターの紙質に良く似た補紙を作り、あてがって補修します。
裏打ち 必要な箇所に折れ伏せを入れ終わったら脱酸処理を行い和紙で全体を裏打ちします。 脱酸処理を行うことで紙の酸性劣化を防ぎ、より長期の保存を可能にします。

修復後

	テープを除去し補修・補強・裏打ちを施したことにより、ポスターがしっかりし、しなやかになりました。取り扱いがし易い状態になりました。

納品

修復が完了したポスターをエル・ライブラリーの谷合館長と千本様にご覧頂きました。とてもきれいになったと大変お喜びになられていました。そして改めてポスターを見直し、このポスターが作られた時代や社会背景についてお二人で盛り上がっておられました。

エル・ライブラリー様はＨＰの他、ブログでも様々な活動を紹介しておられます。