自宅でやってはいけない紙資料の応急処置③
状況別に注意が必要な応急処置をご紹介しています。
今回は、お問い合わせを特に多くいただく事例のひとつ、「資料に染みができてしまった場合」についてです。
③ 資料に染みができてしまった場合
染みは、水濡れやカビ、金属の錆、接着剤の劣化など、さまざまな原因によって発生します。染みを漂白剤や洗剤を使って落とそうとする方も少なくありません。
しかし、このような方法は資料に大きなダメージを与えてしまう可能性があります。
漂白剤や洗剤を使用するリスク
家庭用の漂白剤や洗剤は、紙資料の保存を目的として作られているものではありません。
そのため使用すると、
・紙の繊維が傷む
・変色や退色が起こる
・インクや顔料がにじむ、または消えてしまう
といった、取り返しのつかない変化が生じます。
望ましい対応
染みができてしまった場合は、無理に落とそうとせず、まずはこれ以上状態を悪化させないことが大切です。
・こすらない
・漂白剤や洗剤を使用しない
・湿気や直射日光を避けて保管する
といった点に注意し、慎重に取り扱ってください。
ものによっては専門的な処置によって改善できる場合もありますが、すべてのシミが完全に除去できるわけではありません。
また、染みに関するご相談で特に多いのが、「コーヒーやお茶などの飲み物をこぼしてしまった」というケースです。
このような場合、色素や成分が紙の繊維の奥まで浸透していることが多く、完全に除去することは非常に困難です。
最後に
染み抜きは、お問い合わせを特に多くいただく処置のひとつです。しかし、どの程度改善するかは作品の状態や染みの原因によって大きく異なり、実際に作業してみなければわからないというのが正直なところです。
また、染み抜きは薬品や水分を使用するため、修復の中でも特にリスクの高い処置です。作品によっては、無理に手を加えず、そのまま保管することをおすすめする場合もあります。
そして何より大切なのは、染みを作らないことです。
資料の近くで飲食をしない、飲み物を置いたまま閲覧しないなど、少しの心掛けで防げる事故も多いと思います。
また、大切な資料を守るためには、まず適切な保存環境を整えることが必要です。
例えば、
・高温多湿を避ける
・直射日光を避ける
・埃を溜めない。こまめに掃除する。
そして、作品を傷めてしまった場合は状態を悪化させないことが重要です。
判断に迷う場合は、無理に処置を行わず、お気軽にご相談ください。