事例紹介
酸性劣化を防ぎ、より永く残していく為に
資料の中には酸性化による崩壊が進み、放置しておけば遠からず消滅してしまうものも少なくありません。脱酸処理を行うことで資料の寿命をより長期に延ばすことができます。
このような状態には脱酸処理がおすすめです
- 茶色く変色している
- 少し触れるだけで破れるほど脆くなっている
- 紙の端やページの繋ぎ目、手が触れる箇所が割れてきている
- 洋紙製(辞典や雑誌、新聞など)
工房レストアでは+αの処置が施せます
- 脱酸処理と同時に酸化による劣化(破れ・割れ・折れ等)も修復できます。
- 紙内部だけでなく外部も補修した状態でお返ししますので、すぐ手にとって閲覧・活用できます。
- 資料と同寸の保存容器も併せてご提案できます。
紙の状態に合わせて脱酸方法を変更できます
- 資料を一度解体し、一つ一つ状態を見ながら脱酸方法を選択しています。
- 滲む恐れのあるインク書きがあるページや、傷んでいるページが混在している資料にも対応できます。
弊社では、アンモニアとアミンの混合溶液による処理を行います。処理を行う前に資料を充分に調査し、インク等のニジミの危険性があるものにはニジミ止め処理を施します。
事前調査・処理が済んだのち、資料1枚ごとに脱酸処理溶液を浸透させ脱酸します。
インク・スタンプ等のニジミ止めについて
インク・スタンプなどは非常に滲む危険性が高いのですが、速乾式の脱酸処理(ブックキーパー法)を施すことによって、その危険性を減らすことができます。
洋本の脱酸処理
脱酸処理前
酸性化が進行したため、資料の劣化が著しく、製本綴じの部分からページが折れてしまっています。また、非常に脆くなっているので資料が細片化しやすく、閲覧がほぼ不可能な状態になっています。
脱酸処理後
脱酸処理を行い、また劣化による資料の欠損が激しかったため、漉きはめによる修復を行いました。脱酸処理前に比べて紙はしなやかさを取り戻し、本を開いて閲覧することが可能になりました。劣化の激しい資料に関しては脱酸処理と共に修復を同時に行うことが効果的です。
新聞の脱酸処理
脱酸処理前
新聞をまとめて製本しているものですが酸性劣化が進み、綴じの部分から割れてしまっている状態です。また、資料が非常に脆くなっているので周辺の欠損が激しく、閲覧のために手に取るのが危険な状態になっています。
脱酸処理後
脱酸処理と共に漉きはめ修復を行ったものです。欠損した部分に漉きはめ修復で新たに紙を作っているので、ばらばらになっていた製本も綺麗になりました。また、脱酸処理によって資料はしなやかさを取り戻し、開いて閲覧することが出来るようになりました。