「町医者」的存在でありたい
私達が仕事でお預かりする資料は国や地域の文化財、大学や研究機関の研究資料、博物館や美術館の展示品、神社仏閣のゆかりの品、 個人の家伝の品や思い出の品、コレクションなど多岐にわたっています。
国宝や重要文化財のようなものは、その希少性や史料的価値が広く認められており、修復や保存のための環境が比較的整っています。
いわば文化資料の「大病院」が存在するのです。
しかしそれ以外の地域資料・行政資料・個人や家で所有している資料は関心度の低さや金銭的問題等、様々な要因によって「大病院」に預けることが困難な状況にあり、残念なことに多くの資料が失われつつあります。
各地の人々の生活や歴史を記した地域資料、それぞれの家が受け継いできた家伝の品や大切な思い出の品、個人で集めた思い入れのあるコレクションなどは国宝や重要文化財などの影に隠れて見過ごされがちですが、これらも立派な文化資料であり、地域や個人にとってかけがえのない大切なものです。そこに込められた「残したい・伝えたい」という思いは国宝や重要文化財となんら変わりはありません。
私達は誰でも気軽に相談できるような「町医者」的存在でありたいと願いながら、日々仕事に取り組んでいます。
仕事への姿勢
私達は多くのお客様が利用しやすい環境を考え、お預かりした大切なものを早くお客様の元へお返しできるよう効率化・スピードアップ・コスト削減を図り、常に新しい技術・方法を模索してきました。しかし単に技術やコストだけを追求してもお客様に感動まではしてもらえません。
全社員が感謝と責任を持ち、お客様のご満足の為に一人ひとりがその日一日の目標を決め、実践出来るよう意識して仕事に取り組み、そして最後は熱意を持って仕上げることで初めてそれが可能になるのだと思います。
心が一流でないと良い仕事はできません。これは私達の仕事だけでなくどんな仕事にも共通するものだと思います。私達は技術と共に心を磨くことを日々目指しています。
私たちの仕事について
私達の仕事は、単に破れや虫食い等の劣化損傷を直すだけのものでは無いと思っています。
お客様は様々な想いで修復をご依頼されます。
例えば、ご先祖様が大切に受け継いできた家伝の品、先人達の暮らしを物語る文化財、多くの人々に見て貰える時を待っている展示品、楽しい思い出が詰まったコレクションの品などがあり、それら一つ一つに特別な想いが込められています。私達はそれらの修復を通じて、そこに作品が存在することへの敬意と感謝を感じ、それに報いたいと思う機会を作る仕事をさせて頂いていると考えております。
そして、その機会をより多くの人に提供する事は人と人とのより良い心のつながりを生み、その先に国や世界を良くするものであると願っています。