ポスターの修復工程をご紹介致します。
1.修復前
ポスター全体にきつい折れやシワが入り、ところどころ破れが見られます。折れやシワの部分では紙が劣化しすれて色が剥げています。また、裏面は破れている箇所を補修テープなどで補修しています。このテープはポスターを傷める原因にもなり得ますので、除去し、シワを伸ばしてできるだけ剥げた箇所が目立たないよう修復致しました。
裏打ち修復
現状の記録、滲み止め等の事前処理を済ませた後、裏打ち修復を行うために、まず裏面の以前の補修の際に施されたテープ類を除去していきます。
簡易で補修されたもののため、ずれたまま粘着テープを使用しているので、一度全て除去しなければ新たに修復作業が出来ません。
レーヨン紙の上にポスターを広げ、霧吹きで水分を全体に与え、少しずつ折れやシワ伸ばしていきます。ある程度水分を含むことでテープが外れることもありますが粘着力がきつい場合、必要に応じてお湯で水分を与えたり、薬品を使って除去する場合もあります。
以前の補修テープを全て除去して折れやシワを伸ばし、ずれた箇所を直します。
折れやシワのきついところは、裏打ち修復後に折れシワが戻る恐れがあるため折れ伏せ(細く切った和紙の帯をあてがう事)をします。
その後、ポスターより一回り大きな厚手の楮和紙に糊を引き裏打ちを行います。
裏打ち後、張り板にかけてしっかり乾燥させます。 | |
しっかり乾燥したことを確認して、折れシワ破れなどで印刷が剥げたところに補色を施し目立たなくします。 | |
補色作業が終わった後、張り板からポスターをはずし裏打ちの余白部分をカットする化粧断ちを行い検品し納品しました。 |